第48話 権禰宜見習いの来訪:その1
文字数 2,224文字
書状は
祐紀の養父でもあるこの神社の
青木村に農民のため神社を
ひいては
1週間後にそのもの達を差し向ける。
峠で祐紀と会ったことがある、これも何かのご縁かと思う。
青木村の宮司を祐紀殿の片手間でよいからお願いしたい。
確かに宮司よりは庄屋の方が偉いこともあるが・・。
仮にも国の神事を
「まあ、よいか・・礼儀作法や祭礼方法くらいは教えてやらんでもない。」
しかし、と思う。
仮にも神社の
一体何を考えているのだろう?
青木村の神社の宮司なら、別の神社の宮司に兼任してもらえばよい。
なのに、なぜここなのだ?
確かに、要請は見当違いではない。
ないが、普通は国の祭事を司る神社になど依頼はしない・・。
「まあ、よいか・・、祐紀以外については返事をしても。」
そう呟くと、宮司は返事を
内容は
当たり障りの無い返事であった。
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対応は配下の権禰宜に任せていた。
宮司は
国の祭事を
一分一秒もおしい。
特に祐紀がいなくなってから仕事が増えている。
祐紀はかなり優秀で事務処理も、そつなく
そんな宮司に、青木村の
「いかがした?」
「それが・・、その・・。」
「何じゃ?」
「教育は宮司様にお願いしたいと・・。」
「・・・。」
厚かましいにも程がある。
一瞬、そう思った。
しかし、
どうにも引っかかる。
たしかに庄屋の力というのは
このような要望があっても可笑しくはない。
実際、過去にもこのようなことはあった。
神社として
だが・・。
何かがひっかかる。
「お前からみて、
「は?」
「お前が感じた感想だ。」
「え?」
「印象でよい、話せ。」
「はあ、まあなんというか村人とはいえないような・・。」
「どういう感じなのだ?」
「物腰は柔らかく、言葉使いも村人そのものですが・・。」
「はっきりと申せ。」
「なんといいますか・・、そう、すこし
「違和感を感じるのか?」
「気になるほどではなく、断言できるほどではないのですが・・。」
「他には?」
「今まで見てきた
「ほう・・。」
「なんといいますか、神社の修行でできる
「ふむ・・。」
「まあ、山仕事などしていたのかもしれませんが・・。」
宮司は腕を組んで考え始めた。
やはり、今までの
それに来た初日に宮司に、というのも早急過ぎる依頼だ。
教育課程で、教育係が自分の教える範囲を超えての要請ならわかる。
なぜ、そんなに急ぐ?
まあ、神社を早急に
しかし・・、神社には神社のやり方がある。
それさえも知らないのか?
いや、そういえば青木村に神社が存在したことは無かったな。
だが・・。
何かが可笑しい。
申し出を
しかし・・。
「分かった、会ってみよう。」
「では、ここに連れて来ますか?」
「いや、そうだな・・、今、
「いえ、今は誰もいません。」
「では、その者を滝まで連れて参れ。」
「え、いきなり滝修行ですか?」
「うむ、儂が根性をみてやろう。」
「かの者の荷物は、ここで預かり行かせますか?」
「まだ受け入れたわけではない。荷物を持ったまま来させよ。」
「わかりました。
「いらんだろう、
「それでは、そのように。」
権禰宜はそういうと戻っていった。
「さて、久しぶりの滝修行じゃ、儂も着替えていくか・・。」
そういうと宮司は意味深な笑顔を浮かべた。