第34話 祐紀殿が陰の国に来るとは!
文字数 1,837文字
「何を儂 に伝えたい?」
姫御子 は、最高司祭 である養父の言葉に苦笑いを浮かべた。
さすが父上だ・・。
私が陰の国について話したい事があるのをお見通しだったか・・。
「あの・・、私が
「国内においては旅の疲れ、神殿の重役以上には御神託 によると聞いておる。」
「そうですか・・。父上は
「異常な御神託では・・あるな。」
「はい。」
「おそらく祐紀 殿の御神託とお前の御神託は同じではないのか?」
「!」
「ふむ、図星 か・・。」
「なぜ・・。」
「祐紀殿が神へ
「はい。」
「成人の義のように人間の祝い事の時は、不思議と神は御神託を控える。」
「そう・・なのですか?」
「それなのに御神託がなされた、それと時間をおかずに姫御子にまで御神託があった。」
「・・・。」
「関連があると思うのが普通であろう?」
さすがは養父様だ。
「御神託の内容はさすがに聞けんが、何を儂に相談したいのだ?」
「それなのですが・・。」
姫御子は言い淀む・・。
「安心せよ、儂は神殿に仕える者でもあり、其方の養父だ・・・。
姫御子であるお前の思うことを、やりやすいようにするのが儂の務 めだ。」
「ありがとうございます。」
姫御子を見つめる養父の目が、神官から父親の目になっていることに気がついた。
胸が熱くなる・・。
「実は、その御神託は私個人に対するものでした。」
「ほう・・、そのような御神託があるのか・・。」
「はい、私も驚いております。」
「・・・。」
「その御神託、私個人ではどうしようもなく人の手を借りたいと存じます。」
「・・人の手?」
「はい、祐紀 様です。」
「なんじゃと!!」
養父が驚きで思わず机に手を着き腰を浮かす。
このような養父の驚きを見たことが無い。
どのようなことがあろうと、冷静沈着な父しか見たことがないのだ。
思わず、姫御子は仰け反り 、父から身を引く。
「あっ!・・、すまぬ、ちと、驚いた・・。」
「あ、いえ・・驚かれてあたりまえの事かと・・。」
「それにしても、別々に受けた御神託であろう?」
「はい。」
「いくら同じ内容の御神託とはいえ、二人が一緒に行うのか?」
「はい。」
「二つの国に別れて、別々に行うのではないのか?・・」
「はい・・。おそらくそれでは無理な御神託ゆえ。」
「・・・そうか・・。」
そういって養父は眉間 に皺 を寄せた。
「しかし、お前が
「いえ、祐紀 様が我が国に来ると仰 いました。」
「なっ!!」
養父はドカリと腰を落とした。
あまりにあり得ないことを聞いたからだろう・・。
「姫御子よ・・、その御神託は日帰りでできることか?」
「いえ・・、おそらくは数ヶ月、いえ、数年掛 かるかもしれませぬ。」
「・・・。」
養父は唖然とする。
「のう姫御子よ・・。」
「なんで御座いましょう、父上?」
「陰の国が、祐紀殿を出すと思うか?」
「・・・いえ、無理かと。」
「そうであろうな、では御神託はどうする?」
「・・・祐紀様の協力なしには出来るとは思えません。」
「では・・どうする?」
「・・・祐紀様の言葉を信じます。」
「言葉?」
「はい、
「・・・」
「やはり信じられませぬか?」
「・・・霊能力者の最高峰にある国の宝ぞ、祐紀殿は。」
「はい。仰 る通りです。」
「もし、お前が陰の国に長期滞在するなどと言った場合、我が国は是が非でも阻止をするであろう・・。」
「はい、私もそう思います。」
「ならば祐紀殿とて同じであろう?」
「はい。」
「しかし、祐紀殿はこちらに来られると明言したのだな?」
「はい。」
「なにか策があるのか?」
「私には分かりません。」
「何か聞いておらんのか?」
「はい。」
養父はその事を聞いて考えこんだ。
さすが父上だ・・。
私が陰の国について話したい事があるのをお見通しだったか・・。
「あの・・、私が
陰の国
で倒れたことはどのように聞いておりますか?」「国内においては旅の疲れ、神殿の重役以上には
「そうですか・・。父上は
陰の国
での御神託をどう考えますか?」「異常な御神託では・・あるな。」
「はい。」
「おそらく
「!」
「ふむ、
「なぜ・・。」
「祐紀殿が神へ
成人の報告の義
の後、御神託をうけて遅れたと報告があった。」「はい。」
「成人の義のように人間の祝い事の時は、不思議と神は御神託を控える。」
「そう・・なのですか?」
「それなのに御神託がなされた、それと時間をおかずに姫御子にまで御神託があった。」
「・・・。」
「関連があると思うのが普通であろう?」
さすがは養父様だ。
「御神託の内容はさすがに聞けんが、何を儂に相談したいのだ?」
「それなのですが・・。」
姫御子は言い淀む・・。
「安心せよ、儂は神殿に仕える者でもあり、其方の養父だ・・・。
姫御子であるお前の思うことを、やりやすいようにするのが儂の
「ありがとうございます。」
姫御子を見つめる養父の目が、神官から父親の目になっていることに気がついた。
胸が熱くなる・・。
「実は、その御神託は私個人に対するものでした。」
「ほう・・、そのような御神託があるのか・・。」
「はい、私も驚いております。」
「・・・。」
「その御神託、私個人ではどうしようもなく人の手を借りたいと存じます。」
「・・人の手?」
「はい、
「なんじゃと!!」
養父が驚きで思わず机に手を着き腰を浮かす。
このような養父の驚きを見たことが無い。
どのようなことがあろうと、冷静沈着な父しか見たことがないのだ。
思わず、姫御子は
「あっ!・・、すまぬ、ちと、驚いた・・。」
「あ、いえ・・驚かれてあたりまえの事かと・・。」
「それにしても、別々に受けた御神託であろう?」
「はい。」
「いくら同じ内容の御神託とはいえ、二人が一緒に行うのか?」
「はい。」
「二つの国に別れて、別々に行うのではないのか?・・」
「はい・・。おそらくそれでは無理な御神託ゆえ。」
「・・・そうか・・。」
そういって養父は
「しかし、お前が
陰の国
に行くのは難しいぞ?」「いえ、
「なっ!!」
養父はドカリと腰を落とした。
あまりにあり得ないことを聞いたからだろう・・。
「姫御子よ・・、その御神託は日帰りでできることか?」
「いえ・・、おそらくは数ヶ月、いえ、数年
「・・・。」
養父は唖然とする。
「のう姫御子よ・・。」
「なんで御座いましょう、父上?」
「陰の国が、祐紀殿を出すと思うか?」
「・・・いえ、無理かと。」
「そうであろうな、では御神託はどうする?」
「・・・祐紀様の協力なしには出来るとは思えません。」
「では・・どうする?」
「・・・祐紀様の言葉を信じます。」
「言葉?」
「はい、
陽の国
に来るという言葉を・・。」「・・・」
「やはり信じられませぬか?」
「・・・霊能力者の最高峰にある国の宝ぞ、祐紀殿は。」
「はい。
「もし、お前が陰の国に長期滞在するなどと言った場合、我が国は是が非でも阻止をするであろう・・。」
「はい、私もそう思います。」
「ならば祐紀殿とて同じであろう?」
「はい。」
「しかし、祐紀殿はこちらに来られると明言したのだな?」
「はい。」
「なにか策があるのか?」
「私には分かりません。」
「何か聞いておらんのか?」
「はい。」
養父はその事を聞いて考えこんだ。