第9話2
文字数 727文字
立ち上がって足を踏み出そうとしたら違和感があった。
なんだろうと思って足元を見る。
黒の革靴を履いている。
いつもはスニーカーだから珍しいと言えば珍しいけどそれはいい。
明らかに靴のサイズがあってなかった。それにズボンの丈もだ。足首のあたりに布がとぐろを巻くようにたまっている。
腕を伸ばすと指先すら袖から出ていなかった。肩も落ちていて体にあってない。
肩をすくめてみせたら上着がずり落ちた。
華奢な肩のラインがあらわになる。まるで中学生みたいな体つきだ。
参ったな。
どうやら単純に異世界へ転移したわけじゃないみたいだ。
肉体の変化にはどういう意味があるんだろうか。
ベルトをきつく締めてズボンが落ちないようにする。裾も上げ、袖もまくった。
これで歩く分には問題ない。服は皺になるけど仕方がないだろう。
黒いネクタイは外して胸ポケットに入れる。
これで僕の準備は完了だ。