第14話5
文字数 748文字
じろりと上から下まで見られている。
だぶついた服を着て見聞を広げるために旅に出たとは聞いて呆れると思われているのではないだろうか。
この世界での一般的な旅装ではないだろうし。
フブキ様は我が国の恩人ですからな。是非、我が殿に会っていただきたく思います。
この後、城へ行って此度のことを報告する予定になっているのですが、よろしければご一緒していただけませんかな
さてさて、いきなりこの国のトップと会える機会がやってくるとは、なんとテンプレな展開なのか。僕にとってはありがたい流れではあるんだけども。
当然、こちらに断る理由はない。
僕を害する意図があれば話は別だけど、国土を守った恩人に無謀なことはしないだろう。それに僕には葵が付いてくれていることだし。
なんとなく武芸を習う場所だと井戸の水で上半身裸になった男たちが笑いながら体を拭くってイメージがある。真っ先にこういうのが思い浮かぶのは時代劇の影響だろう。
そういえば戦国時代の頃のお風呂ってサウナみたいな感じじゃなかったっけ。
館長の部屋を後にして廊下を進んでいく。
広くて新しい建物だけど、誰ともすれ違わなかった。