第55話1 澪は紅寿を探してきて

文字数 702文字

澪は紅寿を探してきて。今日は操心館で仕事をしてたでしょ。

葵は茅葺さんを呼んできて欲しい。集合場所は館長の部屋ね

わかったわ
かしこまりました
僕は不動を探してから向かうから。

じゃあ、後で

 二人と別れて真っ直ぐに道場へ向かう。

 不動ならいつものように鍛錬をしているだろうと予想した通りだった。

不動!
お、兄貴か。

どうしたんだ、血相を変えて

悪いけどついてきて
おう!

 二つ返事だった。

 ノータイムでついてきてくれて助かる。


 広幡館長の部屋に勢ぞろいしていた。

 僕、澪、葵、広幡館長、茅葺さん、不動、紅寿と七人も入るとこの部屋も狭く感じる。

話を伺う前にこの人選をした理由を聞かせていただけますかな

 年齢からくるものか広幡さんは落ち着いている。

 扉近くの壁にもたれている茅葺さんも同様だ。むしろ僕が何を言い出すのか楽しみにしている風にも見えた。


 この中で一番状況を理解していないであろう不動は緊張しているのか目に落ち着きがない。事前に説明している時間がなかったんだ、ごめん。

 それにも関わらず僕についてきてくれるなんて、本当に不動はいい奴だと思う。あと、戦力として本気で頼りにしているから。

城下で問題が起きているようなので、お力を貸していただきたく声をかけさせてもらいました

 戦力という意味では機巧操士の梅園さんもいる。

 だけど残念ながら彼は僕によい感情を持っていないようだし、何より今は交代で国境に出てしまっているからあてにできない。


 というわけで、この操心館の責任者である広幡さんと僕が出会って少なくとも友好的な関係を築けたと思っている人たちにこれまでの事情を報告して、相談することにした。いわゆる報連相というやつだ。

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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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