第46話1 不動と二人で門で待っていた白糸様の前に立つ
文字数 803文字
不動と二人で門で待っていた白糸様の前に立つ。
白糸様は立派な馬からひらりと降りた。実に様になっている。
僕もいつか、あんな感じに馬から乗り降りしてみたいものだ。
見たところ護衛が一人もいない。
まさかこっそりお忍びで来たなんてことは……ないといいなあ。
武士たるもの戦いの場に身を置き、領民を守らなければならない。
父上の後を継いで私が国をまとめる時には機巧武者として戦えるようになっていたいのだ
数撃ちゃ当たる方式か。
ちょうど不動ともそんな話をしたばかりだった。
明らかに白糸様の態度に変化があった。
不動に向けた視線はまるで珍しい動物に向けるようなものだ。
不動は顔をこわばらせて直立している。
ああ、それでかとさっきの澪の態度を理解する。
澪たちの話しぶりや梅園さんの言動から、八岐と呼ばれる人たちがこの世界での被差別層であるのは容易に予想ができた。
それでも操心館のような場所で共同生活を送っているのだから差別は露骨に表面化しない程度のものではないかと思っていたんだけど、どうやらそれは思い違いだった。
差別というのは難しい問題だ。
この世界で生まれ育ったわけではない僕では理解できない事情や感情があるのは容易に想像がつく。けれど今の態度はあまりによろしくない。