第22話5
文字数 564文字
葵が知らないのであれば、知っている奴を探せばいい。
慌てることはない。まずはこの世界を楽しもう。
一つずつ目の前にあることを順番に片付けていくとしよう。
ふんわりとした笑みをどこかで見たような気がする。
誰だったのだろう。
こんな美人の知り合いなんていた記憶はないんだけど。
帯をほどき、袴と上着を脱ぐ。
白い肌着一枚になると、布団の前で三つ指をついて頭を下げる。
違うから!
そういうのじゃないから!
普通に寝るだけだから!
なんとか誤解を解いて、葵を奥の部屋に追いやる。
襖を閉めるときだ。
なんて色っぽい溜息が聞こえてきた。
やっぱり、聞いていないことにした。