第45話1 気配を察して目が覚める
文字数 740文字
気配を察して目が覚める。
ぼんやりしていた意識が急速に覚醒していく。
上体を起こす。
何か夢を見ていた気がするけど目が覚めたら忘れてしまった。
お酒に弱くて朝に弱くて……澪は弱点ばかりお持ちのようだ。
制服に着替え終えた頃を見計らっていたのか葵も奥から姿を見せる。
この世界では武士は馬に乗れて当たり前。機巧操士を名乗っているのに馬に乗れないでは恥ずかしいことこの上ない。
おそらく武士が馬に乗れるのは、現実世界なら普通免許を持っているのと同じレベルではないかと考えられる。
それに移動手段が限られるだろうこの世界において馬に乗れると何かと便利ではないかと考えたのだ。
そこは間違いなく澪の強みだ。
〈友愛の声〉って言ってたっけ。僕もそういう技能を身に付けられたらいいんだけど。そっちも教えてもらえば習得できたりしないのだろうか。
言いながら体が傾いていく。
そしてそのままこてんと転がった。