第66話6
文字数 794文字
扉が開く。
そこに立っていたのは長く美しい黒髪をしたアイドルも顔負けの美人だった。
彼女の後ろには鮮やかに澄んだ青空の色をした機巧姫が寄り添っている。
花咲くようなという形容がピッタリな笑顔。
藤川様の娘、ほの香姫だ。
そう一方的に宣言をすると、すすすと近づいてきて僕の手を取った。
彼女の大きな瞳に唖然とした僕の顔が映っている。
澪の叫び声に頭を抱えたくなる。
背後に気配がしたと思ったら葵が立っていた。今はちょっと振り返りたくない。
一度に話を振られて困っていると、澪と視線が合った。
彼女は仕方がないなと言いたげな顔をしてから手を差し伸べる。
僕はその手を取って駆け出す。
見たことのないものがあふれる世界へと。