第13話1 少し歩くと森を抜けて整備された道に出る
文字数 809文字
少し歩くと森を抜けて整備された道に出る。
土を踏み固めただけの埃っぽい道沿いには延々と田んぼが続いていた。
田植えはまだのようで土が掘り起こされている。そのせいかむせかえるような土の匂いがしていた。
今の澪はポニーテールをほどいて髪をおろしている。
こうして見ると、澪も落ち着いて見えるから不思議なものだ。
クスクスと澪はひとしきり笑ったあと、長い髪をかき上げる。
先の尖った耳が見えていた。
長閑な道を進んでいくと、道沿いに生活道具や食べ物を広げている人たちがぽつぽつ見受けられた。
並んでいる品を覗き込んでいる人も、蓆を敷いて座っている人も似たような着物を着ている。
時代劇で見る農民の格好に近い。かなりくたびれた感じの着物が多いけど、着替えなど持っていなくて、基本は一着を着たきりだからだろうか。
澪が指差す先には垣根が続いている。その手前に堀が掘ってあるのだろう。
防塁において塀と堀はセットであることがほとんどだ。ところどころに櫓も見える。