第35話3
文字数 528文字
入浴料とは別にお金を払って二階へ上がる。
基本はお風呂に入った後に訪れる場所だけど、お金を払えば入浴しなくても二階に来られるらしい。
お茶を飲んだり、囲碁や将棋を指したり、本を読んだりして、湯上りのひと時を談笑しながら過ごしている。
火照った体を冷やすためかラフな格好をしている人が多い。
壁には今でいうところのポスターが張り出されている。
日用品、食事などなど。これを見れば市井の流行はある程度把握できそうだ。
お店の人にお願いをすれば按摩――マッサージもしてくれるらしい。色んなサービスがあるんだな。
キョロキョロしていると女性が近付いてきた。
春の柔らかい雨はもうやんでいた。風呂上りの火照った体に風が気持ちいい。
壁を背にしてぐるりと視線を巡らせると部屋の一角を囲んでいる人だかりが目に入る。