第55話5

文字数 586文字

そこは茅葺さんの研究に期待ですかね
そういうことか。

これは責任重大だな

どういうことだ?
実は機巧操士の魂の色に影響を与える研究をしていてね。

それが上手くいけば機巧姫と共感できる者を今よりも簡単に増やせるようになる……かもしれない

すげぇ! 

じゃあ俺も機巧操士になれるってことか!

あくまで研究が上手くいけばの話だから確約はできないよ。

でも機巧姫の数が増えるのはありがたいね。試行回数を増やせるってことだから

他の店が機巧姫を売ったかどうかの確認はこちらで行いましょう。今後の機巧姫購入の交渉も同時にしておきます。

他にやるべきことはありますか

僕から一つ提案が。

関所の取り締まりを強化すべきじゃないかな。こちらが手を回す前に関谷から出ていかれたらまずいだろうし

 茅葺さんの提案に広幡館長が「早速、指示を出します」と応えた。
まどろっこしいことしないで本人に直接聞いたら早いんじゃないか?
私もそう思ったんだけどダメなんだって。

ナカイさんの家が見張られているから

本当に娘さんが誘拐されているという前提ですが――協力者の存在を知られて強硬手段に出られるのを防ぐため、というところですかな
その通りです。

今は中伊さんの家を見張っている者を翠寿に監視してもらっています

だったら犬っ子にさらわれた奴の匂いをたどってもらえばいいじゃないか。

人狼の鼻はすごいぜ

この前の雨で匂いが流れちゃって無理なんだってさ
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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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