第21話6
文字数 930文字
澪の瞳が揺れている。
冷静になり、整理して考えてもらえば問題ないはずだ。
きっと自分のところから翠寿が出奔してしまうと勘違いをしているだけなのだから。
結局、僕は関谷の客将として蔵米三百石をもらえることになった。
澪のような領地を持つのとは違い、いわば給料の形で三百石をもらえるわけだ。
いきなり年収三千万ですよ。現実世界でもこれぐらいもらえていたら犬が飼えるマンションに引っ越してたんだけどなあ。
ようやく、澪の顔に微笑みが戻ってくれた。
翠寿が離れていくことを恐れているみたいだったけど、過去に何かあったんだろうか。折を見て澪から教えてくれたらいいなあ。
翠寿には澪の部屋の引っ越し作業を引き続きしてもらい、それが終わったら僕のところへ来ることになった。
作業の引き継ぎは大事だ。物事は円満に進めるのが望ましいもんな。