第59話2
文字数 587文字
首をひねって刺突をかわす。
吹き返しを穂先が削る。
動いた勢いそのままに右回りに回転しつつ腰から刀を抜き、右足を踏み込みつつ横に薙いだ。
背中に衝撃。痛みに息が止まる。
振り返ると後方へジャンプした鶯色の機巧武者が離れいていくところだった。
こちらの回転に合わせて死角に潜り込まれていたらしい。
左足に衝撃。太ももを守る佩楯がなければ貫かれていた。
距離を取るために後ろへ跳躍する。
相手の間合いにいたら一方的にやられるだけだ。
刀と槍が相対すれば攻撃範囲の広さで槍に軍配があがる。
そこはゲームでも反映されていて、赤属性の刀は緑属性の槍に対して与ダメージが減り、被ダメージが増えるようになっていた。
実際にこうして相対してみてつくづく思う。
刀が槍を相手にするのは不利だ。勝てるビジョンが見えない。
この世界へ来て初めての戦闘ではこんなことを感じなかった。
同じ槍を持っていても、速さも強さもあの時とは比べ物にならない。
それだけ目の前の敵が強いということだ。