第7話1 『カラクリノヒメ』では、色を決定した段階で得意とする武器が決まる

文字数 706文字

『カラクリノヒメ』では、色を決定した段階で得意とする武器が決まる。

 葵色ならば青系。つまり弓を得意とするキャラクターだ。

 もっとも、さっきの戦闘では武器がなかったので殴る蹴るしかできなかったんだけど。

 もしも弓武器があればもっと一方的な戦闘になっていただろう。


 僕が創り出した葵の君が目の前にいる。

 こうして実物を見てしまえば、これ以上しっくりくる葵の君というのは存在しない。これこそ唯一無二、最高レアリティの機巧姫に相応しい。

 思っていたよりも人間的だけど、むしろそれがいいとも言えた。

ここって――
 話しかけようとした瞬間、ぴくりと頭の下の太ももが緊張したのがわかった。
どうしたの?
……申し訳ございません。

無粋な者が覗いていたものですから

 動物とか? まさか魔物?

 ゲーム内には魔物討伐のイベントもある。

 この世界がゲームと同じならば魔物も存在する可能性は高い。

 だったらこんなところでいつまでも寝転んでいてはまずい。

くっ……起き上れ……ない……

 プルプルと腹筋あたりが痙攣をするけど、上体を起こすことすらできなかった。身体の力が思うように入らない。

 熱をもっているのか全身がだるかった。風邪を引いたときの症状に似ている。そう思うと関節も痛いような気がしてきた。

ご安心ください。

なにものが来ようとも主様は必ずお守りいたしますから。

それに先ほどの者はすでに離れていったようです

そっか。

なら……安心なのかな

 しかし、どうして立てないんだ。そんなに疲れていたっけ?

 この世界にやってくるまでにはいろいろあって、肉体的にも精神的にも疲弊していたのは事実だけど。

 だからって起き上がれないぐらい消耗するなんて経験がない。

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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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