第51話1 今日も笠置屋の縄暖簾をくぐる
文字数 678文字
今日も笠置屋の縄暖簾をくぐる。
これはもう常連と言っても過言ではないだろう。
最初の印象というのが良すぎたのだから仕方がない。
あのお酒と食事が提供されるのならば毎日だって通おうというものだ。
昨日の食事は少し残念だったけど、そんな日だってあるさ。
昨日と同じおばちゃんの威勢のいい挨拶に笑顔を向けながら席を確保する。
心なしか今日のお客さんの入りは少ないようだ。
昨日は紀美野さんがお休みだったそうだから仕方がない。
しかも連絡もなく急に休んだという話だから少し心配だ。
言いながら紅寿を見ると、こくりと頷いた。
銭湯にいた僕たちを紅寿が見つけてくれたように翠寿もこの場所を見つけてくれるだろう。
まずはお酒をいただく。
紅寿以外が杯を傾けた。