第12話2
文字数 810文字
澪のすぐ後ろに立って様子を伺っている犬耳娘に頭を下げる。
彼女の尻尾は高く上がり、うねうねと蛇行していた。
警戒されているっていうか、むしろいつ襲い掛かられてもおかしくない状態だ。
紅寿と呼ばれた犬耳娘は不満そうに澪を見上げている。
尻尾の動きも変わらない。
表情は全く変わらない。
けれど、尻尾が垂れて、ゆっくりと左右に揺れている。
両手を合わせて拝むようにする。
ここは澪みたいに土下座の方がいいのだろうか。
あんなに綺麗な土下座にはならないけど、誠意は見せられるかもしれない。
三度言われると、ペコリと僕に向かって頭を下げてくれた。
けれど警戒は続いているようで、澪の後ろに隠れてしまう。
そして相変わらず伺うように僕を見ている。
しまった。完全に嫌われてしまった。
がばりと澪が頭を下げる。
まるで立位体前屈をするかのような下げっぷりだった。
これって土下座の一歩前ぐらいの謝罪なんだろうか。
本当にすまないと思っている。
ちょっとモフモフしたかっただけで、悪気とか一切なかったから。
部下の失敗は上司の責任というのをよく心得ているらしい。
さすがは知行持ちの領主様だ。