第12話1 空は青かった
文字数 811文字
空は青かった。
鼻をくすぐる草木の匂い。
そして頭は柔らかなものの上にある。
ふんわりと葵は微笑んでいた。
その表情に何故だかほっとする。
帰るべきところに帰れたかのような安心感があった。
既に痛みはない。さすがは癒しの技能だ。きっと大丈夫だろう。
さっきの澪の謝罪のセリフの中にいくつか気になる単語があったけど、全面的に僕に非があったのだから甘んじて受け入れるべきだ。
上体を起こす。うん、めまいとかもしないし大丈夫そうだ。
身体の動きを確かめるように、ゆっくりと立ち上がる。
心配そうに澪が問いかけてくるけど、まずは確認をしよう。
ぴょんぴょんとその場でジャンプしてみた。
痛みなし、違和感なし。
うん、大丈夫だろう。
……まだ実戦経験もないのに使用不能になってないといいなあ。
心なしか僕を見ている葵の表情が余所余所しいようにも感じる。
あれだよね、いきなりあんな態度を主人がとっていたら、この人についていっていいか疑問に思うよね。
……ごめんなさい。