第1話2
文字数 757文字
澪は無心で矢を放つ。
命中した大矢が敵の胸部を貫き、勢いでひっくり返る。
そのままぬかるんだ地面を滑り落ちていった。
違い山形の文様が描かれた
だが行動不能には至らなかったのだろう。泥に汚れながらも立ち上がろうとしている。
そこに再び矢が降り注ぎ、一本の大矢に頭を射抜かれてようやく擱座した。
口を開けて荒い呼吸をなだめようとするものの思うようにいかない。
心を落ち着けようとするが、気ばかり急いてしまう。
ミオ、私はお魚がよいと思うのです
なにしろ、美味しい食事を準備するには多くの時間が必要だと聞いています
ミオ、お魚にしましょう
でもね、水縹が心配しなくても関谷はおいしいお魚がたくさんとれるから心配はいらないと思うよ。
お城の食事っていったら私も一度しか食べたことないけど、一見したところお椀にご飯が盛ってあるだけなのに、実はその下にいろんなおかずが隠されている狸食っていうのが目にも面白くて美味しかったよ。
そのおかずの中に白身のお魚も入ってたはずだけど……
そんなご褒美が待っているのなら、この戦は負ける道理がありません
そうだった。
連れ合いである水縹の君は澪が漠然と思い描いていた性格とはやや――いや、かなり異なっていたのだ。
それは一言で表すことができる。