第33話3
文字数 644文字
ああ、こんなことが村の人たちに知られたりしたら絶対に勘違いするよね……でもでも好意を無にするのも申し訳ないし、葵の君だって化粧の仕方を知らなくて困ってるって言うし、それになによりキヨマサ君は年下で、きっと何を意味しているのか知らないだろうし……いやいや。年齢とかってあんまり関係ないよね。年齢の話をしたら私なんて遅いぐらいなんだし。そりゃ私だってそういうのは気になってるけど、領主としてのお役目があるんだから……ブツブツ
澪さん、澪さん。
考えていることが全部口から出てますよ。
そんなに悩んでいるのなら、またの機会に――
紅で！
口紅でお願いします！
……あ、はい。
じゃあ、それでお願いします
かしこまりました。
商品なのですが、よろしければご一緒に操心館までお運びしておきましょうか
それは助かりますけど、いいんですか
はい。器など割れやすいものもございますので、後日、店の者が確実にお届けいたします。
こちらが預かり書になりますのでお持ちください
宅配までしてくれるは助かるな。
ああ、言っちゃった……思い切っちゃった……でもこれはお礼。キヨマサ君からのお礼だから。勘違いとかしてないから。みんなわかってくれるよね？ きっと大丈夫だよね？ ああ、大丈夫じゃなかったらどうしようどうしようどうしよう……考えたくない、けど考えたくなっちゃう……はぁぁ
いまだにブツブツつぶやいている澪のことは放っておいて会計を済ませる。
全部あわせて二十万圓だった。
これは必要経費。だからこのぐらいの出費は問題なしだ。
