第20話6
文字数 833文字
即反応したのは井田家老だった。
この人、国王様の太鼓持ちなのだろうか。さっきからイエスしか言ってない気がするんですけど。
そんなことはないと思うんですよねー。
だってほら、あなたの向かい側にいる人の顔見てくださいよ。
僕の横顔に鋭い視線をめっちゃ感じるんです。僕からは見えないんですけど、その人のおでこのあたりに青筋が浮かんでませんか?
ホント、親の仇のように僕を見るのをやめてもらえませんかね、福岡家老。
あなたは井田家老とは反対側の役割、王様を諌める側の人なんでしょうけど、この件に関してこれっぽっちも僕は悪いことをしてないですからね?
こ、子宝って……セクハラ! セクハラ上司がここにいます!
ほらほら、ほの香姫だって顔赤くしてるじゃないですかっ。
いくら自分の娘だからって言っていいことと悪いことがあるんですよ!
この世界の身分のある女性は政略結婚が基本なんだろうなあ。
かわいそうにとは思うまい。そういう価値観が当たり前の世界なのだから。
……ほの香姫も僕をチラチラ見るのはやめてください。照れるので。