第39話2

文字数 651文字

安いものでも五千万圓前後ってところだね。

簡単に買えるものじゃないと思えばいいよ

さすがに高いですね

 蔵米でもらっている給料を全額突っ込んでも買えない。

 そんな高価なものを複数所有する人がいるのも驚きだった。

 まあ、趣味人だし、この国を治めている人たちだからお金はあるんだろうけど。

ちなみにだけど、仮に葵の君を売るのなら国が一つ買えるぐらいお金が積まれるんじゃないかな
いや、葵を売るつもりはさらさらありませんけども
それはそうだろうね。

素晴らしい機巧姫だから個人的にも大事にしてほしい

 もちろんだと思いながら頷いておいた。
というわけで、機巧操士を増やすのは喫緊の課題でね。

いろいろやってはいるんだけど、これがなかなか……

 茅葺さんは大きなため息をつく。
今のところ見込みがありそうなのは淡渕と水縹の君ぐらいかな
そういえば澪の機巧姫も修理中だって聞きました
うん、それもあって君と話をしたかったんだ。

ところで君は機巧姫のことをどのぐらい知っているのかな

……知っているというほど詳しくはないです

 ゲーム用の設定はした。

 でもそれは色の和名を持つキャラクターと色ごとに戦い方の特徴があるくらいだ。

 この世界の機巧姫についてはほとんど知らないと言ってもいい。

そうだろうね。

じゃあ簡単に説明しておこうか

お願いします
まずは種類から説明しよう。

機巧姫に格がある。基本的に古いものほど価値があり、機巧武者としても強いとされる。

神代式、古式、新式というのがそれだ

 これはゲームにおけるキャラクターのレアリティだと思えばよさそうだ。
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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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