第59話1 混濁していた意識が急速に覚醒していく
文字数 570文字
混濁していた意識が急速に覚醒していく。
頭の芯まで澄み切っている。
同時に冷静な部分が告げていた。このままでは長くないことを。
それでも。でもだからこそ。やれることをやらなければ。
圧倒的な力がみなぎってくる。でもこの力の限界は近い。
地上を見下ろす。
依然として不動は絡めとられたままだ。
中伊さんも草むらでもがいている。翠寿はまだ結界に閉じ込められていた。
そして日影と岩戸だ。
日影が担いでいた機巧姫を岩戸に押し付けているところだった。
手分けをしてバラバラの方向へ逃げるつもりか。
それでもいい。確実にどちらかを倒す。
次の瞬間、目の前に二体の機巧武者がいた。
信じられなかった。
出会ったばかりの機巧姫と共感することができるだなんて。
だが目の前に二体の機巧武者がいるのは間違いない。
それぞれの色は中伊さんが購入した機巧姫のそれと一致しているのだから。