第61話2
文字数 601文字
開けた場所に出た。
かなり広く、見渡す限りが人の背丈ほどある草で地面が覆われていた。
ところどころに水が溜まった場所もある。
急制動をかけると踝のあたりまでぬかるんだ地面に埋まった。
あまり奥までいかないでね。
ここは動物だってめったに近寄らない場所なんだから
眩暈がする。それに足元が覚束ない。
大きく息を吸い込んで、それからゆっくりと吐き出した。
土の匂いを感じる気がした。
ケモノにまたがったままの澪が近づいてきて機巧武者の足に触れる。
コウジュたちには時間稼ぎをしてもらっただけで、危なくなったら必ず逃げるように言ってあるから。
だからきっと大丈夫だよ
それでも危険な役目を負わせてしまった。
僕がもう少し上手く立ち回ることができていたら彼女たちにそんなことをさせずに済んだのに。
背後から大きな足音が迫りつつある。
澪たちは安全な場所まで離れていて。
あ、そうだった。見えないかもしれないけど、お腹を槍で刺されてちょっと痛むんだ。だからこれが終わったら澪の能力で癒してくれると嬉しいな
わかった。約束する。
だからキヨマサ君も約束して。絶対に死なないって
大丈夫です。主様は吾がお守りしますから。
約束してください
……約束する。
澪の領地で造ってるお酒もご馳走してもらうことになってるしね
澪を乗せたケモノが跳躍して少し離れた場所に位置取った。
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