第52話2
文字数 603文字
この世界に定休日という概念があるかどうかわからないけど。
すっと葵が体を寄せてきた。
腕に柔らかなものが当たるのがわかって鼓動が早くなる。
澪の返答はものすごくぎこちないけど、それにツッコミを入れる余裕はない。
翠寿の視線の高さになるようにしゃがんで小声で話しかける。
返事の代わりに頭を撫でる。
それから立ち上がってみんなに声をかけた。
道を少し戻って長屋木戸をくぐるとそこは裏長屋だ。
路地を挟んで両サイドに長屋が並んでいる。
表通りに面したお店も板葺きで時代劇に比べれば見栄えはよくなかったけど、ここの建物はさらにみすぼらしい。
道の中央には井戸に続く排水溝があり、その上にどぶ板がはめられているので踏み抜かないように道の端を歩く。