第28話2
文字数 720文字
そして僕の目の前には暗い紫みの青をした機巧武者が立っている。
横矧の桶側胴には槍によるものだろういくつもの傷跡がある。二の腕に沿った六段の丸袖だが左側は半ばから千切れ、前腕を覆っていたはずの篠籠手も破損して防御力はほぼ失われていた。あれでは力を入れるのも難しいだろう。
下半身は太もも部分を筏佩楯が、膝から下は中立挙と
腰には人間の姿の時と同じように腰に太刀を佩き、小刀も差していた。
そう言われて初めて気が付いた。
僕の機巧武者が腰に小太刀を差していたのだ。
機巧操士が装備しているものはそのまま機巧武者に持ち込めるらしい。
無手の相手に刃物を抜くのも大人げないだろう。
小太刀を腰から抜いて地面に置く。
さて、どうしたものか。
こうして立ち合っていても恐怖はなかった。
理由の一つに相手が既にダメージを負っているのもある。でも、そもそもの話として格の違いを感じていた。
ここまで差があるのなら完膚なきまでに叩きのめすことも容易だろう。
しかし、中の人がどういう性格であれ関谷には機巧武者が必要だ。だからこれ以上壊すわけにはいかない。その意味でも無手でやるのは助かる。