第14話1 廊下を進んでいった扉の一つを澪がノックする
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部屋の中は和洋折衷の感じだった。
床は板張りでテーブルがある一方、違い棚のある床の間があったりする。
広さは十畳ぐらいだろうか。それほど広くはない。
奥にある大きな書斎机に老紳士が座っていた。
木星往還船が完成したら機関長はこの人しかないと言われるだろう渋くて深みのある声だった。
頭髪は白いものが混じっているせいか全体的にグレーに見える。右のこめかみのあたりに五センチほどの切り傷の跡があって表情のすごみを増しているようだった。
それほど背は高くないのに肩のあたりの筋肉が盛り上がっているのが服を着ていてもわかる。ただ座っているだけの人ではないのだろう。
ちなみに着ているものは詰襟にも似た服だ。
軍隊の制服に近いという印象を受けたけど、そもそも詰襟は軍人や官僚の制服だったな。