第10話2

文字数 632文字

キヨマサ君はどこから来たの?
えっと……

 弱ったな。どこから来たと言えば不審がられずにすむだろう。

 この世界で霧峰は関谷と敵対している可能性が高いから駄目だ。遠すぎる国も除外しよう。

 そこそこ近くて関谷と関係が悪化していなさそうな国は……。

城陽(じょうよう)だけど……
 ここは賭けだ。中盤以降で主人公たちが訪れることになる国をあげてみる。
すごーい。

もしかして、その服はあっちで流行ってるとか? でも身体の大きさにあってないよね。

へぇ、こういう格好がねぇ

 澪の不躾な視線を受けつつも、内心はほっとしていた。
僕が倒したのはどこの機巧武者だったんだろう。

場所的に考えたらやっぱり霧峰かな

たぶんだけどね。山があるとはいえこのあたりも霧峰と接してるし。

関谷は小さな国だから攻め落としてもあまり利はないと思うのよね。

なんでわざわざ攻めてきたのかな。争いなんてなくなればいいのに……

 霧峰はゲーム序盤の障害となる国だった。

 それ故に好戦的な国家方針という設定にしてあったから機を見て他国に攻め込むのも不思議ではない。

 ゲームと違って関谷に攻め込んだ理由まではわからないけど。

そういえば別の場所にも機巧武者が出たんだっけ?
うん。みんなが必死に戦ってくれたけどヒロハタ様が……
もしかして亡くなったとか……
ううん。なんとか一命は取りとめたから。

それにね、敵もなんとか押し返せたんだよ! 

みんなが力を合わせて頑張ったの。

ほんと、すごかったんだから

そうか。

関谷の機巧武者は強いんだね

うんっ
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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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