第8話2
文字数 816文字
手当をしようという意志はこの上なく伝わってくるんだけど、外傷は特にないし痛みもないからそんな風にぺたぺた触らないで欲しい。
なんていうか、女の子に体を触られるのは慣れてないのでっ。
女の子は心底ほっとしたように大きく息を吐いた。
悪い子ではないのだろう。
たったこれだけで判断を下すのは間違っているかもしれないが、少なくとも僕のことを心配してくれたのは事実だ。
改めて女の子をよく見る。
長く艶々した綺麗な髪はポニーテールにしている。彼女が首を振るたびにぷらんぷらんと左右に揺れた。
女性のうなじっていうのは男の視線を引きつけてやまない。でも彼女については色気を感じるよりも愛らしい印象を受ける。
しっかりした眉に意志の強さが宿っているようだ。目はパッチリしていて瞳は大きい。
特別美人とは言わないけど、クラスにいたら男女を問わず人気者になっているような子だ。
横になったままの僕の右肩に両手を当てて女の子は目をつむる。
何をするつもりなのかと彼女の手を見ると、手が触れているところからぼんやりと光がこぼれ出ていた。
彼女の手からあふれ出たかのような光が僕にまで伝わってくる。
触れられているところがあたたかい。まるで温石マッサージをされているかのようだ。
じんわりとした感覚が肩から全身に広がっていく。
ああ、これはまるで温泉につかってリラックスしているみたいだ。気持ちがいい。
すぅと光が消えた。