第27話2
文字数 1,060文字
候補生に適切な機巧姫を見つけるところから始めないと駄目なんだろうな。
さて、それにはどうしたものか。
まずはどうやったら機巧操士になれるのかを明らかにしなければいけないんだけど、そこはゲームと同じなのだろうか。
それは低く抑えた声だった。
振り返ると、入口に人影が二つ見える。
澪の顔から表情が消え、不動は面白くなさそうに鼻を鳴らし、翠寿が怯えたように僕の背後に隠れた。
よし、翠寿を怯えさせた以上、こいつは僕の敵に決定だ。
たとえその声が地獄の番犬を彷彿とさせようとも、だ。
叱責するような声にその動きが止まった。
梅園さんは立派な体躯をしている。一八〇センチはあるだろうか。
制服の上からでも胸や肩に十分な筋肉がついているのがわかる。立ち居振る舞いにも隙がないように見えた。
腰には反りの強い太刀を佩き、小刀も差している。侍と言われれば、なるほどと思える雰囲気を持つ男だった。
後ろで一つに束ねた髪の下にある顔つきは精悍といえばよいのか獰猛と言うべきか。戦う者としての気概を感じさせる顔つきだ。
一方の深藍の君は、肩のあたりで切り揃えられた髪と、ぼんやりとした表情のせいでやや幼く見える。
梅園さんとの身長差もあって、最初は子供ではないかと思ってしまった。
葵以外に初めて機巧姫を目にしたわけだが、なるほど、これは一目で人間ではないとわかる。
髪の色が自身の名前と同じだし、表情が固くてほぼ固定されているのだ。
また動きもギクシャクというのではないが、どこかに違和感がある。まるで3Dデータで作成したキャラがアニメに登場したときのような奇妙さ、浮いた感じがあるのだ。
これが機巧姫の一般的な姿なのだとしたら、葵を見た人たちが本当に機巧姫なのかと疑った気持ちがわかる。