第4話2
文字数 590文字
なんとか体を回転させて、背中を下にすることができた。
おそらくそうなのだろう。
目に入るのは一面の青い空。
背中には相変わらず圧倒的な風の圧力。
感覚が間違っていないのなら背中を下に向けているはずだ。
大きく深呼吸をする。
とにかく肺へ空気を送り届ける。
状況を整えることができたはずだ。
両手足は広げて少しでも風の抵抗を受けるようにする。
ひっくり返ってしまわないようにバランスを取るのは思っていたより簡単だった。
見えているのはどこまでも鮮やかな青。
落下しているのに、まるで吸い込まれそうなほど空は青かった。
『空は非常に暗かった。一方、地球は青みがかっていた』と残した宇宙飛行士がいたが、この青を見るとにわかには信じられない。
世界は青かった。
耳から聞こえてくるのではない。
まるで心に直接囁かれているかのような感じがする。
そもそも風のせいで自分の発した声すら聞こえないような状態で、こんなにはっきりと言葉が理解できるとはどういうことなのか。