第19話2
文字数 1,016文字
迂闊に相手を信じて後で痛い目を見るのは遠慮したい。
さて、ここはどう対応すべきか。
大きすぎる要求をして墓穴を掘るのは避けたい。
逆に全く望まないのもよくない。
欲がないと思われるならばまだしも、何か企みがあるのではないかと相手を不安にさせてしまう可能性があるからだ。
すでに天弓と人刀をもらっているのだから、そこそこの要求をするのが望ましいだろう。
この世界の元になったであろうゲームを作ったとはいえ完全に同じではないし、知らないことがあまりに多すぎる。戦いが身近にある世界では無知は即ち死に直結しかねない。
今の僕の急務は、この世界での常識を身に着けることだ。それを学べる状況を整えたい。
あとは衣食住の保障があればいい。それ以上は過剰な要求になる。
しばらくこの国に滞在する許可をいただければと思います。
一念発起して生まれ育った故郷を飛び出してきましたが、未熟者ゆえに世間に通じておりません。
ですからこの国の人々と触れ合い、いろいろなことを学びたいと思うのですがお許しいただけるでしょうか
もし関谷が大国であれば一万石をもって迎えたとしてもおかしくはないのだぞ。
それに我が国に攻め入った三旗の機巧武者を単旗で倒した戦果を忘れたわけではあるまい
福岡家老は口をつぐんで俯いてしまう。
と思ったら、僕の方を睨んでませんか?
嫌だなあ、僕は何も言ってないのに。
いきなり知行を一千石とやると言われても僕だって困る。
知行を持つということはその土地の領主になるということだ。知事は言い過ぎとしても、市長とか村長とほぼ同義だと思えばいい。
いきなりそんなことを言われも、その、なんだ……困る。