第22話2
文字数 533文字
しゅるりと布がこすれる音がすると、葵は襟元を緩めてみせた。
真っ白い肌が目にまぶしい。わずかに朱が差しているのがわかる。
とてつもない色香を放っていた。
いや、今はそういう場合ではない。
見るべきは――
葵の胸の中央には葵色をした大きな勾玉が埋め込まれていた。
ゲームの設定と同じ、か。
機巧姫には必ず固有の色を持つ勾玉が埋め込まれている。そして勾玉と同じ色の名前が与えられる。
勾玉は彼女たちの生命の源であり、これが破壊されたときに機巧姫は死を迎える。
一方、機巧操士の魂にも特有の色がある。
機巧姫の勾玉の色と機巧操士の魂の色が同じとき、一騎当千の強大な力を持つ機巧武者となることができるのだ。
もっともゲームの主人公はどの機巧姫ともパートナー――連れ合いになれる設定だった。主人公の特権というやつだ。でもこの世界では違っている。
違うのはそれだけじゃない。ゲームと異なる部分はそこかしこにある。
例えば澪や紅寿たちのような八岐という存在。僕の知らない技能に移動システム。
未知の存在が目の前にある。それにクリエイターとしてワクワクしないはずがない。