第8話1 ガサリと近くの草むらで音がした
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ガサリと近くの草むらで音がした。
おもむろにそちらへ視線を向ける。
ひょっこりと顔を出したのは女の子だった。
声も若い。まだ高校生ぐらいだろうか。
しかし、少なくとも女子高生ではないのはわかる。それらしい制服を着ていないし、オシャレな私服でもない。
彼女が着ているのはなんといえばいいのか……紺色の忍装束だろうか。
首元までぴったりと覆った水着のような内着に、和服のような前合わせの袖のない上着を重ねている。
相撲の呼び出しがつけるような
腰には棒のような――おそらくは忍者刀ではなく短刀を差している。
指が露出した手甲は上腕あたりまでの肌を隠し、足はニーハイソックスっぽくみえる。足元は脚絆をつけていた。
だから忍びといえば忍びに見えなくはない。
ただし、ゲームキャラのデザインとしてみれば彼女の装束はやや地味だ。
見た目重視なら肌が露出している部分は網タイツ的なものがあるといい。エロいからな。
びっくりして後ずさろうと思ったけど体が思うように動かない。そもそも僕の背後には葵がいて移動することができないわけで。
視線を上げると葵はどうしたのか?と言いたげな顔をして僕を見下ろしている。