第57話4
文字数 707文字
あの店には複数の結界が張ってあってそれに反応があったからな。俺たちの動きに感づいた者がいると想定していただけだ。
まさか人狼と機巧姫が俺をつけているとは思わなかったがな。
おまけに鬼もいるのか。これはまた役者を揃えたものよ
八岐に連なる九十九の一族は器物と対の存在だ。
憑いた器物によって発揮する能力も千差万別で、武具に憑いた九十九であれば驚異的な戦闘力を発揮する。
槍の男は神代式である葵の一撃を弾いたことで、それを証明してみせた。
武具の九十九にはありがちとは言え、イワトにも困ったものでさァ。
ああ、そちらの兄さんと機巧姫も勝手に動かないでくださいや。せっかくの計画を台無しにしないでくだせェ
視線だけで身動きを止められた。
当然だが蓬髪男の言葉を信じるつもりはない。
後腐れなく殺してしまった方が楽と考えていたとしても不思議はないからだ。
槍の男――岩戸は穂先を葵に向けたままだ。