第22話4

文字数 641文字

目標を定めたのが誰というものはありません。命令も受けていません。

強いて言えば――吾自身でしょうか。

吾は混沌を望みません。そして主様と吾であれば、この戦乱を鎮めることができます。

力ある者がそれを行うのは当然のこと。

そのように吾は考えています

戦乱が落ち着いたとしよう。

そのとき僕はどうなる

 目標を達成したらエンディングが見られるのか?

 ソーシャルゲームには事実上エンディングはない。

 サービスの終了がエンディングとも言えるが、そこにはいわゆるスタッフロールやエンディング画面なんていうものはほぼありえない。ウェブサイトにサービス終了のあいさつが掲載される程度だ。あんなものエンディングと呼べない。


 戦乱を鎮めるのが僕の目的だとして、その後、僕はどうなるのか。

 そのままここで暮らすというのはできれば避けたい。

 現実世界に戻りたいと思っている。

 そうしなければゲームが作れないからだ。

天下を平定すれば主様は覇王ということではないでしょうか。

それは目的ではありますが終着ではないと思います。

主様は天下を治めていくことになるでしょう。人生は続いていくものなのですから

最初はRPGで、それをクリアしたら国家運営ゲームになるのか? 

その次はなんだ? 

神様になって歴史をシミュレートでもするのか?

 エンディングはない。

 少なくとも葵は知らない。

 葵にあたっても仕方がないのはわかっている。

 ただ、はっきりしない状態は落ち着かないのだ。

 明確な指針が欲しかった。

……悪かった。

今言ったことは忘れて

はい
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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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