第29話3
文字数 841文字
俺なんて真っ先にぶっ飛ばされるんだよ。んで、俺をぶっ飛ばした奴はその次ぐらいにはぶっ飛ばされてさ。
とにかく鬼は強さがすべてだから、殴って殴られて、それでも立っている奴が長だってみんなが認めるわけ
壮絶なバトルロイヤルだな。
しかし、あれだけの腕力を持つ不動を一発殴ってKOするってどうなっているんだ。鬼の一族は化け物ぞろいか。
だから正直言って、ウメゾノ様はすげーと思う。
俺だったら……ぶるって立っているのがやっとだったかもしれない
でも兄貴はそれをしなかった。
一本目は動きが速すぎて何をしたのかわからなかったけど、二本目は相手の全力を出させていた。だからウメゾノ様は納得できたと思うんだ
本当は幕末の剣豪、
だから二本目は自分からは仕掛けず、回避に専念した。
二本目を譲る前に相手の体力が尽きるのは想定外だったんだけど。
だから僕が優しいというのとは少し違うように思う。
ちなみに一本目の動きは熊を倒すときのものだ。
実践しようなどと思ってはいけない。野生の熊には近づかないに限る。
またな、兄貴!とでかい声で別れの挨拶をすると、全速力で走って行ってしまった。
なんて元気な奴なんだ。少しぐらいその元気を分けて欲しい。