第2話4
文字数 882文字
全長が五
ここに集結した澪たちの機巧武者をすべて倒しさえすれば、歩兵などあとからどうとでも処理できるという相手の思惑は正しい。
正しいからこそ前提である目標を達成させるわけにはいかなかった。
そのための戦力の集中であり、戦場の設定である。
敵は弓を防ぐ巨大な
景虎が放った矢は分厚い盾に阻まれて敵に届いていない。
強弓を持つ笑の矢ですら弾かれていた。
このままでは遠くない未来、敵の機巧武者が陣を突破するだろう。
そうなればもともと数に劣る澪たちに勝ち目はない。
広幡から指示が出される。
丸太を束ねる足元の縄を景虎が腰に差していた小太刀で切った。
滑り始めた丸太を蹴ると、ガランゴランと重い音を立てながら坂を勢いよく転がり落ちていく。
ガゴゴン!という鈍い音が眼下から聞こえてきた。
遅れるな!
丸太の仕掛けはまだいくつか残っている。
相手からの矢を防ぐ壁であり、転がり落として攻撃する武器であり、足止めをする罠でもある。
こうして一旗でも多く敵の機巧武者を落とし、遅滞作戦を行うのが澪たちのここでの役割だった。
彼女がお側にいる限り、心配は無用なのです