第11話1 澪も戦いに出てたんだよね

文字数 654文字

澪も戦いに出てたんだよね。

その割には軽装のようだけど

 ゲームでは機巧武者は一騎当千であり、火力は歩兵と比べ物にならない。

 そもそも機巧武者はゲージがたまったときの超必殺技扱いのユニットだから歩兵と直接戦うことは基本なかった。

私は正式な機巧操士じゃないからね。

でも配下に優秀な忍びがいるから斥候を頼むってヒロハタ様に言われて参陣したの。

あとは癒しの力も使えるからじゃないかな

 正式ではないにしても機巧操士なら間違いなくエリートだろうし、澪も相応の地位にあるんだろう。だったら配下がいてもおかしくない。
こう見えても三百石の知行(ちぎょう)持ちの武士だしね。

すごいでしょ?

おお、知行があるんだ。

そりゃ確かにすごい

 知行っていうのはいわゆる領地のこと。そして領地があるということはそこの徴税権を持っていることになる。

 つまり澪は領主様ってわけだ。


 一石はお米にすると一千合で金一両に相当する。

 金一両は時代によってまちまちだけど現在の価値にすると四万円から十万円ぐらい。

 つまり澪の治める土地は最大で年間三千万円の収入がある計算だ。


 もちろんそれが全て澪のものになるわけじゃない。

 四公六民なら四〇%が税金で領主の取り分となる。

 それでも千二百万円。

 健康保険料とか住民税はないだろうからほぼ手取りと考えるとやっぱりすごいな。


 ゲームを作るにあたって鎌倉から江戸時代あたりを調べていたのが役に立っている気がする。雑学も捨てたものではない。

じゃあ、今のところ敵を追い返せたと思っていいのかな?
そうだといいんだけど……
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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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