第34話1 おっ、雨か
文字数 716文字
ウキウキ気分で先ほど買った番傘を風呂敷から出す。
柄は竹製で傘の部分には防水処理された和紙が張られている。骨の数がかなり多いぐらいで形状は今の傘と
江戸時代の銭湯は混浴だったこともある。この世界でも同じだとしたら冷静にいられる自信はない。挙動不審で摘み出されたりしないだろうか。
そんな不安を胸に澪の後を小走りでついていった。
二階建ての立派な建物だ。
大きな煙突の先からは鉛色をした空へ向けて白い煙が上っていた。
銭湯の入口には大きな暖簾が二つかかっていて男湯と女湯に分かれている。それを見て、ほっとしたのは内緒だ。
ひらりと手を振って澪は葵を伴って暖簾をくぐってしまう。
あの、この世界の銭湯の作法とか何も聞いてないんですけど!