第40話2

文字数 649文字

昨夜こと、覚えてないんだ
……三人で居酒屋に入って、お酒を注文して、お任せで料理を注文したよね
うん。そこまではあってる
それで、もう一本、お酒を頼んじゃった……り?
なんで疑問形なんだよ
実はそのあたりから記憶が曖昧なの……
 それって半分ぐらい記憶なくしてるってことじゃないですかー。
酔っぱらってキヨマサ君に絡んじゃったり、ヘンなこと言ってなかった?
機嫌は良さそうだったし、絡まれたとは思わなかったよ。むしろ楽しいお酒だった。

それに変なことは言ってなかったんじゃないかな。

澪の住んでたところは美味しいお酒を造っているから今度飲みにおいでって誘われたぐらいで

そ、そうなんだ……よかったぁ
もしかしてさ、澪ってお酒での失敗が多い人?
――ドキッ
いや、わざわざ口で言わなくてもいいから
お酒は好きなんだけどね、量があんまり飲めなくて……でも大好きだからついつい飲みすぎちゃって、いつも失敗しちゃうの。

実はね、今もちょっと頭が痛かったり……

それは間違いなく二日酔いだね、

お酒を飲むときは飲んだお酒と同じぐらいの量の水を飲むといいよ。

あと、飲む前に少しお腹に入れておくのもいいかな。悪酔いしなくなるから

へぇ、そうなんだ。

じゃあ、今度はそうしてみる

 いつの間にか座り込んだ澪の背後に紅寿が立っていた。

 正座したままのご主人を、なんとも表現の難しい表情で見下ろしている。

澪っていつもあんな風に酔っぱらうの?
そそそんなことないから! 

酔いつぶれたりするのは二回に一回ぐらいしかないから!

 それ、半分の確率でアウトってことだよね?
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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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