第18話2
文字数 888文字
そこで新人形である人形雛が次々に作りだされていると知れば、人形師として名を成したい者は居ても立ってもいられぬでしょう。続々と移り住んできているようです
ああ、なるほど。
藤川国王がしようとしていることは織田信長が茶器でしていたことだな。
以前までは戦で活躍した人に恩賞として知行を与えて応えていた。
しかし領土は限られているから与え続けることはできない。けれど褒美がなければ家臣の不満は溜まっていく。そこで信長は新しい恩賞システムを考えた。それが茶道と茶器だ。
まず茶道というものは素晴らしいのだと宣伝をする。そこで使われる茶器もまた価値があるものにしてしまう。つまりは権威づけだ。これが一般に広まれば、茶道で使われる茶器もありがたがるようになる。
なんと戦国時代では一国の領土をもらうより茶器がもらえなくてがっかりしたなんてエピソードが残っているぐらいだ。
この世界ではもともと機巧姫という価値ある存在がいる。
彼女たちは人形として優れているだけでなく、機巧武者という戦力でもある。
それが国外に持ち出されれば自国の戦力が失われ、他国の戦力が増強されてしまう。
そこで関谷では新しい人形を作るようになった。それがこれまでの会話に出てきた人形雛だろう。
それに価値があるのだと世間が認めてしまえば、生産国である関谷にはお金がどんどん入ってくるというわけだ。
実に理にかなっている政策だと思う。
っていうか、こういうのって異世界に転生してきた主人公が提案、実行して、周囲からすげーとか言われるのが定番なんじゃないですかね?
僕がアイディアを出す前に形になりかけているんですけど……。