第45話3
文字数 966文字
江戸時代にファーストフードとして定着したという握り寿司はこの世界でも一般的な食べ物だった。
座敷のある高級店も存在するけど、庶民は立ち食いで済ませることが多いそうだ。
ただし、一つが大きすぎて一口ではとても食べきれない。
おにぎりのようにノリが巻いてあるわけではないので、食べている途中でどうしても崩れてしまう。
そうはおっしゃいますが葵の食べ方はとても真似なんてできませんよ。
だって一口でぱくって食べてるんだもん。
普段の上品顔からは想像もつかない豪快な食べっぷりだ。
腹ごなしに少し歩いてから操心館へ戻ることにする。
昨夜の雨は上がっていたけど、地面はかなりぬかるんでいた。
操心館の門の前に馬に乗った人がいた。
遠めに見ても立派な馬だとわかる。どこかのお偉いさんが視察にでも来たのだろうか。
お城で会った紅顔の美少年を思い出す。
また戦いの話を聞きたいって言っていたし、その件だろうか。