第43話1 ごめんね
文字数 754文字
紀美野さんを待っていたけどなかなか戻ってこないので操心館へ戻ってきた。
よいお酒を確保できたら使いを出すと中伊さんが約束してくれたので頼りにさせてもらおう。
小走りで去る二人を見送る。
翠寿の仕事は僕の身の回りのことをするだけではない。
操心館を運営していく上でいくつかの仕事を彼女たちのような小者が任されているのだ。
一旦部屋へ戻った不動を待って銭湯へ向かうことにする。
操心館の門を出たところで、不動は頭に七福神の大黒様のような頭巾を被った。
仕事で遅くなる日は同僚と会社の近所にあった銭湯によく行ったものだ。
体を真っ赤にしながら熱い湯船に入って、仕事の愚痴を言い合い、湯上りにコーヒー牛乳をぐぃっとやるのが最高だった。
返事がない。
どうしたのかと思って見ると深刻そうな顔をしている。