第46話5

文字数 766文字

 白糸様に僕の部屋までご足労願い、翠寿の手を借りて制服に着替えてもらう。
ふむふむ。

これが操心館の制服か

おにあいです!
そうか。

こうしていると、私も皆と仲間ようだな

何を言っているんですか、当たり前じゃないですか
そうですよ。

俺たちはシライト様の仲間なんです!

ああ、そうだな。

うむ。私たちは仲間だからなっ

それでどちらのお店に行くんですか


イダが常々口にしている店があってな。

そこへ行ってみようと思っている

 白糸様はお店の名前しかご存知なかった。不動や翠寿も知らないそうだ。
では道々で聞きながら向かいましょう

 白糸様のお供は、僕、不動、翠寿の三人だ。

 申し訳ないけど葵には留守番をしてもらうことにした。

 翠寿には先行してお店の場所を探してもらっている。

フブキ殿のいた城陽ほどではないだろうが、この国も賑やかだろう?
これも全部、フジカワ様のお陰ですよ。

えーと、関谷には物がたくさんあって、売ったり買ったりする人の行き来が多いからとかなんとか

 白糸様の傍をぴったりと固める不動は頭巾を目深に被っている。
父上とフクオカの話でも出てきたな。

関銭を取りやめるとどうなるのかというのも話し合っていたようだが

そんなことしたらお金が入ってこなくなるんじゃないですか?
いや、どうもそうではないらしいぞ。詳しいことは私にもわからんのだが
 そんなことを話していると、翠寿が小走りで戻ってきた。
キヨマサさま、お店の場所がわかりました。

こっちです!

 翠寿はくるりと踵を返し駆け出そうとする。
走らなくてもいいよ

 そう声をかけると、ピタリと足を止めて僕たちが追いつくのを待ってくれる。

フブキ殿は八岐の者をまるで手足のように使うのだな。

私たちではそうはいくまい

そんなことないですよ。

みんなに助けられてばかりですから

 実際、澪や翠寿がいないとこの世界での僕の生活は成り立たない。
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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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