第20話4

エピソード文字数 705文字

フブキ殿にお聞きしたいのだが
なんでしょう
フブキ殿が倒した機巧武者は素っ気ない前懸胴だったというのは事実ですかな
その通りです
なるほど……
 歯切れが悪いのは自覚があったのか井田様が言葉を継ぐ。
昨今、そうした簡易な姿をした機巧武者を見かけるようになったという話がいくつか私の耳にも入っていましてな。そしてどれもあまり強くない。

その理由は機巧操士が素人だからだと言うのです。

そして嘘か真か誰でも機巧操士になれるのだとか

眉唾物よな。

仮に本当であれば儂が真っ先になっておるわ

いえいえ、そこはまず私が命を張って試すのが先かと
自分が機巧武者になりたいだけであろう?
……わかりますか
しっかりと顔に書いてあるからな。

とりあえず機巧武者になってみたいと

ワハハハ
 本当にこの二人は仲がいいみたいだ。共通の趣味を持つって大事だよね。
やはり霧峰ですかな
ここ数年は大人しかったのですがな。

かつては国境で頻繁に小競り合いがあったものですが

外寇の折は武甲国(ぶこうのくに)や六花国と並んで頼りになったのだがな。

外に敵がなくなれば隣国を狙うのではケモノと同じよ

 武甲と六花は霧峰と並ぶ大国だ。国力に相応しいだけの機巧武者を保有している。

 ゲームではこの三国ともストーリーにガッツリ絡んでくる。

白相と同盟を結んでからは霧峰のちょっかいがなくなった。

その隙に国を富ませるという儂の策は間違っていなかったであろう

 黙って福岡様は頭を下げる。
北に侵入した機巧武者が白相の旗を差していたことの真相を確かめるために間者は既に放っておきました

 井田様の言葉に藤川様と福岡様は表情を引き締める。

 軽口を叩きながらもやることはやっているっていうのカッコいいよね。

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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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