第31話2
文字数 779文字
だからこの国は木材の加工品が特産物で、国も生産を推奨しているのだそうだ。
建材から桶やお椀といった日用品から神木を使った機巧姫まで。関谷産の木工品といえば全国でも有名なんだとか。
木工品を他国へ輸出しているということはある程度の大量生産が可能であり、相応の消費者が存在するわけだ。
もしかしたら手元の資金で人を集めて現代世界の何かを作ってウハウハできるのではなかろうか?
人を集めて大量に物を作ることが可能というのは覚えておいて損はない。
薩摩藩における琉球王国のようなものだと考えればいいのだろうか。朝貢関係にはないみたいだけど。
その島は機巧姫の勾玉となる神石がとれる数少ない土地らしい。
単純な石高だと関谷は小国に過ぎないけど、現金収入を含めると
良質な木材と水江島でとれる貴重な石が入手しやすい土地だからこそ、関谷は古くから人形の生産地として有名だった。
必然的に機巧姫に関わる人たちがこの国へ集まり、多くの名品が生み出された。
そんな土地だからこそ、今を生きる人形師たちは関谷にやってくる。操心館にいる調律師の茅葺さんもそういった一人らしい。