第27話5
文字数 518文字
プツンと何かが切れたような音がした――気がした。
ズンズンと床を踏み鳴らして梅園さんがこちらへ迫ってくる。
葵が前に出ようとする気配を察して制する。
大丈夫。相手のプライドが高いのならば手は絶対に出さない。絶対にだ。
僕の前に立った梅園さんは覗き込むように上体をかがませ、それこそおでこをくっつける距離にまで顔を寄せる。
なお、僕の視線は深藍の君に向けられたままだ。
ここでスルーをしてやるのも面白いが、先々のことを考えると面倒だ。
相手をしてやり、きっちりと落とし前をつけさせてやるとしよう。