第26話2
文字数 1,036文字
生憎だが聞いたことはない。
おそらく澪たち八岐というのは江戸時代の士農工商から外れる人々のようなものなのだろう。村や町に定住せずに山に入って狩猟などを生業とする存在だ。
ニカっと顔全体で大平さんは笑う。
来年の話をしているわけでもないのに鬼が笑っていた。
澪の表情はどこか強張っている。
触れられたくないことを聞いてしまったらしい。
うん、人狼が素早いのは知ってる。
紅寿の蹴り足の速さを身をもって体験したからな。
そんな八岐の中でも姉貴の木霊は怒らせると一番怖いんだぜ。昔話には森を勝手に切り開いて木霊の怒りを買った国が大地震で滅んだっていうのもあるからな!