第24話2

文字数 697文字

いや、なんでもないよ。

それで、この後の予定なんだけど

まずは一通りここの施設を案内するね。

みんなへの紹介は折を見てかな

 連れだって歩いていると前方から広幡館長がやってきた。二人揃って挨拶をする。
昨夜はよく眠れましたか
お陰様で。

よい部屋をいただいて感謝いたします

不都合がありましたらいつでも仰ってください。

フブキ様には客将として操心館についてのご意見をいただけばと思います。

肩書としては臨時師範とでもしておきましょうか

 僕の知っているここの師範というと青藤の君の連れ合いである広幡宗玄さんだけだ。その宗玄さんは回復しきっていないそうだけど、同僚となるのなら挨拶の一つくらいはしておきたいところではある。
戦うこと以外にもお役に立てることがあればいいのですが
なんの。あれだけ素晴らしい機巧姫を連れておいでなのです。期待しております。

関谷は小国故にもともと機巧武者は多くありません。

しかもここ数年は戦らしい戦がなかったこともあり、内政に比重を置いた政策をとっておりました

 外に憂いがなければ国内を富ませて次に備える。それは正しい方針だと思う。
しかし先日のように他国からの侵略があったとき、少数の機巧武者で守ることは難しい。

関谷では多いときでも五旗程度の機巧武者しか揃えられなかったのです。

国王様はそれを懸念されて操心館の準備を進めていたのですが、少しばかり後れを取ってしまったようです。

ですが新たな操士が育てば穴を埋めることは可能だと考えています

 機巧武者は一旗二旗と数える。これは自分の目印となる旗指物をつけることからきているものだ。

 あと、この世界での機巧操士と機巧姫の関係性は『連れ合い』と称する。

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登場人物紹介

不吹清正(ふぶき・きよまさ)

本作の主人公で元の世界ではゲームクリエイターをしていたが、自分の作ったゲームによく似た世界へ微妙に若返りつつ転移してしまう。

好奇心旺盛な性格で行動より思考を優先するタイプ。

連れ合いの機巧姫は葵の君。

葵の君(あおいのきみ)

主人公の連れ合い(パートナー)である機巧姫。髪の色が銘と同じ葵色で胸の真ん中に同色の勾玉が埋め込まれている。

人形としては最上位の存在で、外見や行動など、ほとんど人間と変わりがない。

主人公のことを第一に考え、そのために行動をする。

淡渕澪(あわぶち・みお)

関谷国の藤川家に仕える知行三百石持ちの侍で操心館に所属する候補生の一人。水縹の君を所有しているが連れ合いとして認められてはいない。

人とは異なる八岐と呼ばれる種族の一つ、木霊に連なっており、癒しの術を得意とする。また動物や植物ともある程度の意思疎通ができる。

大平不動(おおひら・ふどう)

操心館に所属する候補生の一人で八岐の鬼の一族に連なる。

八岐の中でも鬼は特に身体能力に優れており、戦うことを至上の喜びとしている。不動にもその傾向があり、強くなるために自己研鑽を怠らない。

直情的で考えるより先に体が動くタイプで、自分より強いと認めた相手に敬意を払う素直さを持つ。

紅寿(こうじゅ)

澪に仕える忍びで、八岐に連なる人狼の少女。オオカミによく似たケモノ耳と尻尾を有している。

人狼の身体能力は鬼と並ぶほど高く、その中でも敏捷性は特に優れている。忍びとしても有能。

現在は言葉を話せないもよう。

翠寿(すいじゅ)

澪に仕える忍びで、紅寿の妹。人狼特有のケモノ耳と尻尾を有する。

幼いながらも誰かに仕えて職務を果たしたいという心根を持つがいろいろと未熟。

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